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喫茶ポプリ
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1995年パソコン通信ニフティサーブに集まった平沢進ファンの盛り上がりをうけて、ニフティ内にファンサイト(BBS)として開設。その後インターネットに移転。
で、その間いろいろあったりするわけですが、この度、個人のブログとして(勝手に)リニューアルすることにしました。
たまにはヒラサワの話もするから許してけろんちょ。    FOO
-2007/10/22 - 

◆写真はクリックすると拡大します。◆当ブログはリンクフリーです。
◆ヒラサワ関連の記事は、日付の古い順に読まれる事をお勧めします。
◆twitterもやってます。小ネタはそっちが中心です。 http://twitter.com/foomodel
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『SIREN』のSF的解釈

2012/03/20 21:12
平沢進vol.4/11

SIREN = CERN は、ちょっと無理があるかも知れません。
でも、その着想がきっかけで『警報』と名付けられたこのアルバムにストーリー
らしきものが見えてきたのでした。


   電光浴-1

  映画で言えば冒頭のシーン。
  瞬く星々の中を巨大な宇宙船がゆっくりと進んでゆく。

 
発端は「ON LINE MALAYSIA」で明かされる。
苛烈な日照りの描写が意味するものは。

ここで、CDのジャケットを思い出してほしい。
真っ赤な背景の中に青い球体(の平沢進)。

太陽に異変が起きたのだ。
(♪怒りを込めて咲いた・・・「セイレーン」のこのフレーズは、荒れ狂う太陽?)
 
やがて灼熱地獄となる地球から逃げよ。
警告の“声”は遠くから届いた。
導かれるまま、我々は希望を胸に旅立たなければならない。
幾多のSIRENが待ち受けていても。
遥か上(宇宙)へ。


「ON LINE MALAYSIA」という曲名も重要。
オンラインといえば、通信、コンピュータ、とテクノなイメージに溢れているが、
LINEは「道」。バスレーンのレーンだ。
つまり、人類の運命を乗せた宇宙船が進む「星への道」が「星レーン」なのだ。


   電光浴-2

  故障なのか燃料切れか、まるでタイタニック号のように移住計画の
  宇宙船は星々の海で座礁してしまう。
  もはやこれまでか。。。そのとき“声”の主が迎えにやってきた。
  困窮する隣人を救うために。




[余談その1]
 もともとは、素粒子にからめて「ON LINE MALAYSIA」を聴いたら、<声は途絶え>
 が太陽ニュートリノの減少に思えて、 → コアでの核融合の減少 → 太陽の膨張
 という連想につながったのでした。

[余談その2]
 平沢さんのことだから、アルバムに『SIREN』なんてタイトルをつけたからには、
 ヴォネガットの『タイタンの妖女(The Sirens of Titan)』を意識しないわけないので
 SFなストーリーがあっても当然。てのは説得力あるかな?

[余談その3]
 「ON LINE MALAYSIA」もまた多層性があるのです。
 迫りくる太陽が象徴するもの。
 それは、マレー作戦での日本軍、なのでした。
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SIREN

2012/02/13 00:05
平沢進vol.4/10

  ニュートリノの移動速度は光より速い?!

そんなニュースが世界を駆け巡ったのは去年(2011年9月)のことだ。
私は「相対性理論は間違っていたのか」という疑問より、その記事に登場
する CERN という言葉にひっかかった。
1952年に欧州合同で設立した素粒子の研究機関の略称なのだが、

 CERN・セルン → SIREN・サイレン

ちょっと似てないか?
長大な量子加速器の施設を持つCERNは『SIREN』の元ネタではないのか。

シングルカットもされた「サイレン siren」を聴き返す。
おっと、クサいぞ。
<キミが見える><あとわずかで>
新しい素粒子の発見は、宇宙開闢の瞬間を解明する科学の悲願でもある。
そう思って、3番を(♪SIREN 空が生まれる・・・)を聴くと
時空とともに誕生し宇宙を旅する素粒子達が歌われているように思える。

そんな考えを持ったのは、同じく『SIREN』収録の「Gemini」の<機械の花園>
が、ニュートリノの検出成功で知られる、カミオカンデの光電子増倍管
(真っ暗の超純水タンクの壁面に設置された素粒子検出器)を想起させて
いたからだ。

そもそも、このアルバムには「Day Scanner」や「Holy Delay」にしても、遥か
彼方より降り注ぎ、我々の身体も含めたほとんどの物質を通過してゆく
ニュートリノのイメージが散見される。
アルバム冒頭曲のタイトルも「電光浴」ではないか。

それでは、もうひとつの siren である「Siren セイレーン」はどうか。
この曲の内容は、ギリシャ神話セイレーンをモチーフにしたと考えるには無
理がある。しかし、SIREN = CERN から素粒子研究の話が素材だと捉える
と符合する部分があるのだ。

<怒りを込めて咲いた 夜を覆う花> は、光を閉ざしたタンク内の検出器。
<寄り添う子ら>は、素粒子?光電子?

大統一理論を証明する素粒子発見への道は険しく、CERNをはじめ様々な
研究施設で科学者達は日々、真理の探究に勤しんでる。
私には「Siren セイレーン」が、そんな彼らを密かに讃える歌に聴こえるのだ。

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Miss.N

2011/01/19 22:46
平沢進vol.4/09

結婚して半年ほど経った1996年11月、新婚旅行で訪れたプーケットのサイモン・キャバレーは、その猥雑な名前のイメージとは異なる、設備が整った映画館のような小ホールだった。
観客はドリンクホルダー付きの席でくつろぎながら素敵なエンターテイメントを鑑賞することができる。
私達はショーを楽しむ他に、ちょっとした目的を持っていた。
開演前、前年のSIM CITYツアーにも参加した Miss.N の写真をボーイに見せ、今夜のステージに出演することを確認する。ボーイは彼女のことを「ジョー」と呼んでいた。それが本名なのかはわからない。
そこで観たステージは、ダンスはもちろん、音響、照明、多様な舞台構成を含めすべてが一級だった。
終演後、素晴らしいパフォーマンスを堪能した観客の多くは、屋外で出演者と写真撮影を行う。このときのチップはダンサー達にとって貴重な収入源だ。
Miss.N を探し、一緒に記念写真を撮ってもらったが、自分達が平沢進のファンだと告げると、「ススムのファンからはもらえない」と彼女はチップを受け取ることを固辞した。

 ありがとう、Miss.N。あなたの気遣いは忘れません。
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『東京異次弦空洞』2011.01.14-渋谷AX-雑感その2

2011/01/18 23:51
平沢進vol.4/08

恵比寿公演でもシンプルな舞台セットが美しかったが、今回はそれを徹底させ、開演時には舞台上に何もない状態からコンサートは始まった。
これは、イヤーモニター(耳に装着するヤツね)導入の副産物で、足元から無骨なスピーカーを無くしたからこそ、現在のすっきりしたステージが可能になった。そうでなければ、演者自らが演奏台(?)運んで現れるような演出は配線の問題もあって実現できなかったに違いない。
ハウリングの心配から開放されるなどメリットの多いこの方式、演奏の音もはっきり聞こえて歌いやすいはずだが、前日の公演では歌いながらしきりに調整を繰り返していたそうだから、意外に扱いが難しいのかもしれない。
ともかく、このような機材のコンパクト化はヒラサワの大好物であって、みんなにアピールしたくて仕方がなかったんだろう。

もうひとつ特筆すべきは渋谷AXの音について。
1階最後方という条件の悪い場所にもかかわらず、会場の音響が良好なおかげで、音楽会として十分楽しめたのは望外の喜びだった。ステージが遠くてよく見えなかったから尚更ありがたかった。
同程度のキャパを持つホールの場合、クラシック・コンサートでも使えるように残響を調整して建物を設計するため、不明瞭でもたつく音しか鳴らせない。AXはロック、ポップス専用なので吸音処理が十分施されているようだ。大きなハコで満足できる音を聴いたのは、新婚旅行で訪れたプーケットのサイモン・キャバレー以来だった。


以降は余談。
サイモン・キャバレーの音の良さは今でも鮮烈に憶えている。日本のライブハウスなど足元にも及ばない。
壁面は吸音材で覆われ、PAスピーカーはBOSE製で統一されていた。床には何本も共鳴管型ウーファーが設置されていたが、決してブーミーな低音にならず、全域にわたって歯切れのいい音を聴かせてくれた。日本語の流行曲が使われたときは、耳なじみがある分そのクリアで厚みのある音が際立って聴こえて驚かされた。
音響ひとつとっても、ここの人達のパフォーマンスに対するこだわりが感じられた。
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『東京異次弦空洞』2011.01.14-渋谷AX-雑感その1

2011/01/18 01:03
平沢進vol.4/07

レポじゃなく雑感なので。

シーン1
サイレント・チェロを弾くヒラサワ

演奏は1曲のみだったが“セロ弾きのヒラサワ”は大いに観客を沸かせた。
ようするに宮沢賢治をやりたかっただけ。

シーン2
レーザーハープが載った舞台を肩にロープをかけて引き摺りながら登場するヒラサワ

『平沢三幕三時間』でチューブラヘルツを引き摺り登場した演出のスケールアップ版。次は何を引っ張るつもりだろう。
ケイト・ブッシュ「Cloudbusting」のPVへのオマージュですね。
ちなみに、ヴィルヘルム・ライヒが実際に作製したクラウドバスターは金属パイプが並んだデザインで、明らかにチューブラヘルツの元ネタです。

シーン3
レーザーハープを演奏するヒラサワ

今回は照明のせいか客席からはレーザーがほとんど視認できない。
見えない敵と戦うヒラサワ。その背後から巨大なカニの化け物が。。。
無駄に姿勢がいいので、メイド達にテキパキと指示を与える執事長のよう。

シーン4
ゲスト・パフォーマーRangさんのクネクネダンス

もー ムチャクチャでござりまするがな〜、の声が聞えた(吉本新喜劇的幻聴)

シーン5
トビラ島

沈み込むガット・ギターのアルペジオ。潮流のようなストリングス。
それにもまして冴え渡るヒラサワの歌声。
暗転の後、独り舞うタイからの客人。
再び現れ・・・スタンドマイクで朗々と歌うヒラサワ(!)
あああ、、なぜこんなに可笑しいんだ。マヌケカッコイイの極み。
完全にやられました。

シーン6
アンコール「WIRE SELF」の(♪わーいや)ワイッ のところで小首をかしげて歌うヒラサワ

かわいい(笑)
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I'm your LEAK.

2011/01/10 11:45
平沢進vol.4/06

私はアレンジャーとしての平沢進を“オブリガートの魔術師”と呼んでいる。
ことぶき光が作ったメロディをを左チャンネルに押しやって、右チャンネルを分捕った「LAB=01」なんかは、どっちが主旋律だかわかりゃしない。
「LEAK」もサビ歌に管楽器の対旋律がからむ人気曲だが、音楽的な事はともかく今回も歌詞の話をしたい。

毎年、正月番組として放送されている『たけしの教科書に載らない日本人の謎』で今年は仏教を取り上げていた。その番組で、ウロウロ(する)は漢字で書くと「有漏有漏」だと知った。「漏」とは「煩悩」を表す。
(有漏:いろいろな欲望や迷いの心を持っていること)
膝ポンで納得! 漏 = LEAK
あれは“煩悩の歌”だったのだ。

まさかぁ、と思うことなかれ。
同じくアルバムには「ダンス素凡夫」なる曲があるではないか。「凡夫」は仏教用語で「煩悩にふりまわされる愚かな人」を表す。Pモデルの最初のライブビデオのタイトルを思い出して欲しい。『三界の人体地図』の「三界」は凡夫が解脱するまで輪廻を繰り返す煩悩の世界だ。
そう考えれば「オルガン山にて」で歌われる<風打つ旗の柄 揺れたとは外だけ>も、「旗が動くのだ」「いや、風が動くのだ」で知られる禅宗の公案「非風非幡」を連想させる。まあ『カルカドル』は禅問答のような歌ばかりではあるが。

『カルカドル』収録の歌詞には否定形が多く、作者が精神的に参っていたことが伺える。当時から精神世界全般に興味を持っていたことは本人も認めているが、仏教も当然それに含まれるはずだ。溢れ漏れる煩悩をかかえてウロウロと彷徨い歩く若きヒラサワ自身を歌った曲が「LEAK」なのではないか。
<我が身塞ぐフタもなくて>ともあるが、煩悩を三段階に分けると、中間レベルの煩悩は「(がい)」と呼ぶそうだ。

ヒラサワと仏教、相性がいいのかも知れない。
始めて聴いた人が「お経みたいな歌だね」と言うのも当然か。
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スケルトンコースト公園

2010/10/22 02:33
平沢進vol.4/05

日本語にすれば「骸骨海岸公園」となる。
そういう国立公園がアフリカにあるらしい。
民謡パートには不似合いな<ミクロマクロの仕掛けの中に>という歌詞から、この曲のモチーフを探ってみよう。 

ミクロ(小宇宙)とマクロ(大宇宙)の照応性にヒラサワが関心を持つようになったのは、これらを含む東洋思想に傾倒したユングの影響に違いない。
印象的な次のフレーズが、それを物語っている。

   はるか一なるものの鼓動の調べは降りて

この世界で起こる現象や存在は、一なるもの(タオ)の諸側面であり、石ころから人間にいたるまで、宇宙のあらゆるものは互いに関連し合っている。ユングが説く「共時性」の元になった概念だ。

「スケルトンコースト公園」は、平沢=ユング、の時代から現在の作風へ移行する中間点の作品であり、グラフィック処理を得意とするAmigaコンピュータとの出会いがなければ生まれなかった曲だと言える。

繰り返し座標を計算するうちに、単純な線が次第に複雑で大きな形状に成長していく。マンデルブロ集合の滑らかな境界線も、一部分をズームアップすれば大小の相似形が連なっているのが見えてくるだろう。
つまり、<小波大波>はフラクタル図形の描線のことなのだ。
自然界におけるフラクタルの代表は、リアス式海岸のような海岸線らしい。

演算スクリプトの処理結果を集積させたものと言えるフラクタル幾何は、計算式の基本は同じでも、条件が変わると異なる画像や立体モデルが幾つもできる。
元型となる一つの命令文から様々な形象(=森羅万象)を生み出すのだ。
コンピュータ・プログラミングの分野では、このように設定値を差し替えて実行するスクリプトの「雛形」をスケルトンと呼ぶ。

母なる海と接する創造の境界。
スケルトンコーストはそんな場所なのだろう。

画像


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